2013年3月2日土曜日

「会話は「最初のひと言」が9割」 向谷 匡史

ここでの「会話」はビジネスシーンが想定されています。
一種の「ビジネス会話のtips集」としては基本的なことが書いてあります。著者は1950年生まれなので、20代のヒトからみた場合には共感できない点もあるでしょう。

「言ってはいけない最初の一言」の章で「とんでもありません」が挙げられています。お世辞あるいは褒められた場合には「とんでもありません」と受けずに、「恐れ入ります」と礼を述べて、それに続いて謙遜すればよいと言っています。「とんでもありません」と言われると、お世辞を言った側が否定されて「間抜けな感じ」になるからよくないのだとも指摘しています。(ただし、「間抜けな感じ」になるかどうかは、その状況や相手と自分の関係性で決まるのではないかと私は思います。)
褒められた場合の反応については既に他のエントリーで触れました。

会話には「リッチ会話」と「ビンボー会話」があり、「ビンボー会話」に展開することはよくないといっています。会話の最初でネガティブなトーンで始めると駄目だということで、「天気が悪くいやですね」とか「忙しくて貧乏ひまなしですよ」とかでは、そのあとが(著者の言う)「ビンボー会話」に陥りるようです。同様に、「最近は景気が悪くて、、」と切り出すのもよくないのでしょうね。
コップに半分の水を、「半分しかない」と言えますが、「半分も残っている」とも表現できますから、心がけでビンボー会話は避けられるでしょう。事実は否定的なものであっても、その表現方法を「ポジティブ」にまとめることは可能なので日頃から心がけたいものです。

「ビジネスで使える最初の一言」の章では、「一度で結構ですから」の使いようを示しています。ビジネスは情で動くが、下手に頼むだけではなく、「一度だけでも」あるいは「一回だけでも」などの一言がお願いには効果的だと述べています。「一度だけ」は、言っている側としては「始まり」(=2度目、3度目もありうる)だが、言われた側は「限定的」に捕らえて大目にみるので感情として受け入れられやすくなるからだ、と解説しています。結局は「フット・イン・ザ・ドア・テクニック」(交渉や依頼の場面で、本命の要求を通すために、まず簡単な要求からスタートし、段階的に要求レベルを上げる方法)の応用といえますが、情を絡めている点では、本書の指摘はユニークです。



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