2018年7月16日月曜日

「半年だけ働く。」村上アシシ

表紙にも書いてある通り、労働時間を半減にするキモは「単価を2倍にする」点にある。著者自身はそのライフスタイルで10年以上生きてきたわけだが、現在、長い休みをとるのが難しいサラリーマンすべてに可能な方法が書かれているわけではない。もっとも適しているのがITコンサルで、フリーランスとしての生き方に親和性が高い業種である。従って、現在サラリーマンで、その業務内容がフリーランスとして通用するのでなければ、「半年だけ働く」スタイルに移行するのは難しいであろう。

「まずはサラリーマンで地頭をつける」の項で、「1万時間の法則」が書かれている。これは物事を習熟するのに要する時間で、「石の上にも3年」を裏付けるものらしい。学校をでていきなりフリーランスを目指すよりかは、まずはサラリーマンで修行するのが得策であろう。事実、会社勤めは、長く休めないなどの制約があるが、種々の教育を受けられる(しかもお金をもらいながら)ことや、社会的な身分を保証してくれるメリットもある。会社にいるか、フリーランスになるかの長所短所は本書の別のところでも紹介されている。

タイトルの「半年だけ働く」の目的は何かといえば、著者の「旅とサッカー観戦」の時間(と資金)を捻出するためである。ここで興味深く感じたのは、フリーランスで、かつ旅をすることから、その生活が「ミニマルに生きる」こととつながっている点である(第4章)。捨てるものとして、名誉欲、人間関係、紙の本、手帳があげられており、ハード面の保管や記録に関してはGoogleの利用を推している(私もGoogle派)。
「やめる」ことで「年賀状」がでていたが、これをやめようといっている人は他にもいた(多分「お金じゃ買えない」に書かれていた)。個人的には年賀状をやめることには賛成だが、やめ方はきちんとしたほうがよいと思う。返事をしなければそのままフェードアウトするだろうが、やはり意思表示をしたい。つまり、年賀状書き最後の年には、きちんと「今後の年賀状はやめます」の旨、一筆添えるべきであろう。

「半年だけ働く」ライフスタイルのためには、それなりの実力(=会社をやめても生きていける力)が必要であることは否定できない。では実力のないヒトはとうすればよいのか?実力をつけるか、難しそうであれば、支出を減らして可処分所得を増やす生き方もありだろう。「時間を生み出す」ために他の時間を減らす(あるいは切り捨てる)考え方は後者に近いといえる。

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