2015年8月23日日曜日

「0(ゼロ)ベース思考」スティーブン・レヴィット、スティーブン・ダブナー

「ヤバい経済学」「超ヤバい経済学」の続編。原題はThink like a freak(フリークみたいに考えろ)で、フリークみたいに考えることができない理由として、①偏った先入観を持っているから、②みんなと同じことをするのが楽だから、そして③忙しさにかまけてゼロベースで物事をかんがえなくなったから、の3つを挙げている。
ホットドッグの大食い記録を塗り替えたコバヤシがどうしてその偉業をなしとげることができたのかとか、胃潰瘍の原因は細菌によるものだということがわかったエピソードを紹介しており、ゼロベースで考えることの重要性をわかりやすく例示している。

本書のなかで「やめる」意義が述べられている。
やめるべきことを続けている理由として、
①やめるのは失敗を認めることだから
②サンクコスト(埋没費用)として続けてきたことを捉えられず、これまでやってきたことがもったいないと感じるから
③機会費用に頭が回らないから
の3つを挙げている。
ここの②と③についてはビジネスや投資の世界では理解されている概念だが、実践できるかは感情のうえからは難しいのかもしれない。
①についてはまさに合理的な理由というよりはむしろ感情的な理由といえるだろう。失敗ではなく「袋小路の発見」とみるとか、あるいは「うまく失敗する」ということでやめることができると述べている。

人間の行動は、必ずしも確率的あるいは統計的なデータに裏づけされた合理的なものではないことを気に留めておく必要があるだろう。サッカーのPKの確率論が紹介されているが、まさにこのことを示している。そういえば、本田選手がPKをど真ん中に蹴りこんだことがあったが、確率的なことを知っていたのか知りたいものだ。