ラベル 文章力 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 文章力 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2013年5月11日土曜日

「あなたの話はなぜ通じないのか」 山田ズーニー

文庫本の初版が出たのが2006年です。私がこの本を買ったのもそのころだったと記憶してます。
ずいぶんと久しぶりに読み返しましたが、コミュニケーション力アップ本として良書であることを再認識しました(だからこそ、未だに重版されているのでしょう。)

本書で指摘している一番のポイントは「自分のメディア力を高める」ことに尽きます。
ここでの「メディア力」とは「信用(信頼)力」と、「自分という人間の中身を、きちんと相手に伝えるチカラ」と言い換えることができるでしょう。

「メディア力」は、時代性とか、運とか自分でどうにもならないものもあるが、
日ごろの、立ち居ふるまい・ファッション・表情。
人への接し方、周囲への貢献度、実績。
何をめざし、どう生きているか、それをどう伝えているか? 
によって形成されると述べています。

「メディア力」の大切さは、「何を」伝えようとしているかよりも、「誰が」伝えようとしているかで受け手の反応が異なるという事実からも明らかでしょう。「誰が」のメディア力が低ければ伝わらないということです。同じ記事を「日経新聞」が伝えるのと「スポーツ新聞」が伝えるのとでは、後者ではあまり信憑性を持った記事として受け入れられない例が挙げられています。

また、「人は中身をよく知って判断されるのではなく、その人の情報で判断される」からこそ、「メディア力」が重要だと述べています。通常、その人の「内面」ではなく印象や周囲の評判で判断されることから、「自分がどう見られているか」という点をよくすることが重要だということです。そもそも、「他人」を内面から理解するには、相当の時間を要することは間違いないでしょう。
「自分」を伝えようとするには自己アピールは重要ですが、アピール下手であれば無理する必要はない、むしろ「謙虚」という点を生かすべきとも述べています。

根も葉もない噂が立った時に、変に釈明しても納得してもらえない、その理由はその時点で当人のメディア力が低下しているからだという見方は面白いです。(だからそんな時は、メディア力のあるスピーカーの援助が必要だと述べています。)


会話のコミュニケーションで重要なこととして、相手の「根本思想」を理解することを挙げています。「根本思想」とは、その人を発言に向かわせている動機・想いのことです。つまりは言葉では表されていない言外の意図や意思を「汲み取る」、あるいは「察する」ことが重要であるといえます。
超能力者でもない限り、相手の心を読むことは不可能です。しかしその相手が職場の同僚など近い人であれば、普段から相手に興味を持って接することで、多少は意図を読みやすくなるのではないでしょうか。「好き」になる必要はないですが、「無関心」では根本思想の理解はままならないでしょう。

「メール」で伝わらない、どうしたら伝わるかについてもわかりやすく解説されています。具体例が多く紹介されている点で実用的です。
論理的に話す、聴く技術については他の本と書いていることに変わりありませんが、やはり実用的な知見からまとめられています。

2013年1月19日土曜日

「IT時代の実務日本語スタイルブック」 山本ゆうじ

ネットあるいはパソコンの時代となって文書の書き方も変わってきました。電子文書では、文書を共有あるいは再利用したり検索したりできるための工夫が必要であり、そのための表現や記号使用のための表記基準の必要性を著者は指摘しています。

文書、特に実務文書を書く上での要点も述べており、「百半ルール」「重先ルール」という具体例が示されています。
「長すぎる文章は短くする」ことは一般的な注意として知られていますが、本書では「百半ルール」と呼ばれる基準を提案しています。このルールでは「1文が百字を超えた場合、文を二つに分けましょう」という具体的な、どの程度で文を分割するかの目安が示されています。また、百字を少し超える場合に、少し減らすよりはこのルールに従って分割したほうが容易であるというメリットもあります。
「重先ルール」では、「文あるいは段落では、重要なことを先にもってくるほうがよい」と述べています。特に日本語の文では大事なことが文の最後のほうに来る可能性があるので、注意が必要だと思います。「段落」でキーセンテンスを先に持ってくるのは、こちらで触れたように英語の構成であれば当然でしょうが、日本語では見過ごしがちな点です。

著者は実務翻訳者の観点から、「わかりやすく」「実用的な」日本語文書の書き方を論じています。英語との対比に基づいている点は内容が理解しやすいです。
日本語には主語がなくても文の構成が可能である特徴がありますが、極度に英語に訳しにくい文は論理的な構成となっていないことが多いことは私も経験しています。特に論理性を求められる場合には、英語に訳しやすい日本語の構成を心掛ければ、実用文書としても通用しやすいのではないでしょうか。