2013年1月19日土曜日

「IT時代の実務日本語スタイルブック」 山本ゆうじ

ネットあるいはパソコンの時代となって文書の書き方も変わってきました。電子文書では、文書を共有あるいは再利用したり検索したりできるための工夫が必要であり、そのための表現や記号使用のための表記基準の必要性を著者は指摘しています。

文書、特に実務文書を書く上での要点も述べており、「百半ルール」「重先ルール」という具体例が示されています。
「長すぎる文章は短くする」ことは一般的な注意として知られていますが、本書では「百半ルール」と呼ばれる基準を提案しています。このルールでは「1文が百字を超えた場合、文を二つに分けましょう」という具体的な、どの程度で文を分割するかの目安が示されています。また、百字を少し超える場合に、少し減らすよりはこのルールに従って分割したほうが容易であるというメリットもあります。
「重先ルール」では、「文あるいは段落では、重要なことを先にもってくるほうがよい」と述べています。特に日本語の文では大事なことが文の最後のほうに来る可能性があるので、注意が必要だと思います。「段落」でキーセンテンスを先に持ってくるのは、こちらで触れたように英語の構成であれば当然でしょうが、日本語では見過ごしがちな点です。

著者は実務翻訳者の観点から、「わかりやすく」「実用的な」日本語文書の書き方を論じています。英語との対比に基づいている点は内容が理解しやすいです。
日本語には主語がなくても文の構成が可能である特徴がありますが、極度に英語に訳しにくい文は論理的な構成となっていないことが多いことは私も経験しています。特に論理性を求められる場合には、英語に訳しやすい日本語の構成を心掛ければ、実用文書としても通用しやすいのではないでしょうか。



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