2013年7月28日日曜日

「Coffee in Manila」 A concerned American

今回読んだ本は、アマゾンから入手したキンドル版のペーパーバックです。

そこそこの長編でしたが、特に中盤までは中に入り込むことができました。

アメリカ人中年男性Ryanがオンラインデートサイトで知り合った女性にフィリピンにまで会いに行って、そこから真実の愛に気づくお話です。日本語でこう書くと、女性が単数だか複数だか曖昧ですが、彼は3人の女性と順番に数日ずつ会う約束で旅立ちました。
彼や女性たちの心理状態の変化がかなり興味深かったのですが、後半では、ちょっと説教くさくなり(まさに聖書の話などが盛り込まれてます)少し興味をそがれました。あとがきを読んで、基本的に著者("A concerned Americanと書かれていることからもわかるように、匿名のようですが)はキリスト教関係のようで、それを知って「説教臭さ」の理由に納得しました。

マニラでコーヒーショップを開いて、国際結婚をサポートしている夫妻がRyanを支える重要な役目を担っています。そのオーナーは、彼らのコーヒーショップをあたかも教会のごとく機能させ、また、週末にはcharacter building classを開いており、牧師のような役目を果たしています。また、コーヒーショップオーナーが一般の人々に献身的である大きな理由は、実はそのオーナーの娘に理由があったのです。ネタばれするので、話の筋はこの程度で止めておきます。


キャラクタービルディングのクラスで何を教えているかを聞かれた時の以下の言葉は説教臭さはあるものの、人生のパートナーを探す際には重要でしょう。
Basically, we teach everyone in attendance that if they ever want to find the right person in life, they first need to be the right person.




いくつか(個人的に)興味を引いた英語表現を以下に挙げたいと思います。

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Besides, with so many things to do in Manila to keep them busy all this week, why rock the boat and muddy the waters before they even met in person?
■rock the boat:大事なときに波風を立てる、波乱を起こす
直訳は「ボートを揺らす」だから、ほぼそのままですね。

■muddy the waters:話を混乱させる
直訳は「水を濁らせる」なので、意味は想像しやすいです。
"waters"は修飾語をともなって「困難な状況」の意味で使われるようです。
いつものweblioでは例文が見つからず、手持ちの辞書(プログレッシブ英和中辞典)に例文がありました。
dive into the murky waters of controversy(大論争の真っ只中に飛び込む)

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Not only that, in some cases, they made the same so-called promises to other women as well, in the highly competitive and cutthroat world of online dating.
■cutthroat:「殺人」ではなく、「殺人的な」→「競争で情け容赦のない」 の意味です。

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■head full of salt and pepper hair
「ごま塩頭」は英語では「塩コショウ頭」だったとは。ごま塩が英語圏ではポピュラーでないのが理由でしょう。

■beam from ear to ear
beam=「微笑む」ですが、おそらく"grin from ear to ear"(口を大きく開けて笑う)のほうが一般的な気がします。

■square:まっすぐな直接的な方法で
She looked him square in the eyes, an anxious expression on her face.
直訳的には「まっすぐに目をみた」です。状況としては、「浮気の疑いを持った妻が、夫に対して目をそらすことなくじっと見つめている」ときを思い浮かべるとしっくりするでしょう。
以前にも挙げた"square one's shoulders"でもそうですが、squareは四角いというよりは、まっすぐなイメージで使われることが多いのかもしれません。

■high and dry:取り残されて
Maricel seemingly left him high and dry.
ここではleftとともに使われているので「見捨てた」の意味です。

■iron out:アイロンをかけて皺を伸ばす→問題を解消する
As soon as we iron out the details, you'll be among the first to know.


自らのボキャ貧を晒すのは恥ずかしいですが、当ブログにお越しいただいた方々に役立てばうれしいです。


キンドル版は値段がよく変わります。入手したときは無料でしたが、これを投稿時点では99円です。

2013年7月21日日曜日

「生の短さについて」セネカ

■生き方について、人それぞれの考え方があると思います。「太く短く」というヒトもいれば、「なるだけ長生きしたい」というヒトもいるでしょう。「細く長く」派は聞いたことありませんが、中には「ぬるい感じ」で生きたいヒトもいるでしょう。

ただ単に長生きすることに対して疑問を呈し、時間を浪費することなく大切に使おうというのが「生の短さについて」の主旨です。セネカの生きた時代は今から2000年余りも前であることに驚かされました。

「無駄に長く生きる」ことに対して、以下のように述べています。
誰かが白髪であるからといって、あるいは顔に皺があるからといって、その人が長生きしたと考える理由はない。彼は長く生きたのではなく、長くいただけのことなのだ
その通りだと思います。
が、一方で「ただ長くいた」としても、老人はその年まで「存在している」だけですごいのではないかと時々感じます。それは本人の心がけによるものかもしれませんが、そこまでの人生の運のよさが「凝縮された」結果ともみてとれます。70年も80年も生きながらえてきただけで「奇跡」じゃないかと思うのです。



■ただ長く生きるのではなく、充実して生きることについては、
ガンジーの言葉:
"Live as if you were to die tomorrow. Learn as if you were to live forever."
を思い出します。

他人に振り回されて時間を浪費しないようにする大切さは、スティーブジョブスも述べています。
"Your time is limited, so don't waste it living someone else's life. Don't be trapped by dogma —--which is living with the results of other people's thinking."


本書の全体の1/3が訳注と解説となっており、古代ローマの歴史に疎い私にとっては本編よりも役に立ちました。


2013年7月15日月曜日

今年半年を振り返る


前回2月の振り返りからひさびさです。今年もついに残り半年を切りました。
そして、ブログ更新を週末の土日としていましたが、遂にこの「公約」も途絶えてしまいました。

当初の、ブログの目的(仮)では
このブログでは、私kapiが読んだ本のレビューやそこから考えたこと、語学学習について記述したいと思います。
ここでは、読者の皆さんに役立つことを目的とし、日々遭遇する不満や言いたい悪口の類は書かないつもりでいます。
 と書きましたが、果たして「皆さんに役立つ」目的に沿っているかどうかの自信はありません。

ブログ開始以降、周りの環境も変化したこともあり、当初のテンションが低下してきたことは否めません。特に最近は暑いので、自宅のACなしのPC部屋であまり長居をしたくないことも外的環境要因です。


←この写真を見て、せめてもの暑さしのぎに役立てばと思います、、、
雪の上のネコ。本当は、コタツで丸くなりたかったのかも。







当初の路線に戻せるようなネタで更新を目指したいと思います。

2013年7月6日土曜日

「Waking Up Married」 Mira Lyn Kell

 今回読んだのは、Kindleで無料で読むことのできた、ハーレクインシリーズの一つです。
途中から話について行けなくなりました。理由のひとつは比較的難しい単語が登場する頻度が高かったからではないかと思います。他の理由は序盤で登場人物が3人を超えたので、誰がだれだか混乱したためかもしれません。

このシリーズは他も似ているかとは思いますが、女性が読めば素敵な妄想の世界へと誘ってくれることでしょう。特に心理的な描写については女性のほうが共感できる点が多いのではないかと思われます。(書き手も女性読者を想定しているのでしょう。)

 「朝、目覚めたらよく分からないヒトと結婚していた」というスタートは、この手の物語では典型的なのでしょうか。洋画でも、同様の展開で話の始まるキャメロン・ディアスが主演のコメディを思い出しました(邦題:ベガスの恋に勝つルール。原題:What Happens in Vegas。)話の始まりは似ていますが展開は違っています。



せっかくなので、個人的に気になった表現のいくつかを原文の部分とともに以下に示します。

■knickknacks
She hadn't brought everything to San Diego. Not the furniture. But her keepsakes. Books. Knickknacks.
キンドルの辞書では英英辞典で表示されました。
意味は、a small worthless object, esp. a household ornamentで、
まさに引越しの場面なので「装飾用小物」でしょう。


■wring one's hand
 "Okey," she said, nervously wringing her hands. "I'll be your wife."
絞るの意味ですが、wring one's handで「両手をもみしぼる」の場合、
「じっとしていられないような不安・心配・苦しみ・絶望などのため、強く握り合わせた両手をねじるように動かすしぐさ」を表すようです(*)。


■square one's shoulders
"I'm just confused and overwhelmed and..." She squared her shoulders. "I'm not entirely sure a getting-to-know-you anything makes much sense, all things considered"
「(肩の線がぴんとまっすぐになるように)胸をぐっと張る、背筋をしゃんと伸ばす」様子で、「堂々たる構え;勇気ある決断、一戦を交える覚悟、難事をやり遂げる覚悟など、確固たる心構えを反映する姿勢;張り切って構える様子を表す比喩表現」のようです(*)。
ここの文脈では、「ちょっと居直る」ような雰囲気だと思います。
squareは、四角くするのではなく、まっすぐにするの意味合いだったとは、、、読み飛ばすと細かい部分で誤解することがあるので注意が必要です。

(*)出典:「しぐさの英語表現辞典」小林祐子編、研究社