2019年9月16日月曜日

「ライフシフト」リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット

副題は「100年時代の人生戦略」とある。翻訳本で、原題は"The 100-Year Life  Living and working in an Age of Longevity"。

現在何歳なのかによって読む人の受け取り方が変わると思われる。現在の長寿化社会でいかに人生設計するかの問題を取り扱っている内容である。今の時点で年金生活者であれば、あまり内容に興味がわかないかもしれないが、これからの世代であれば興味をもって読める内容だ。
これまでの社会制度は人生を3つのステージ、すなわち教育の時期、働く時期、引退の3つを前提にしていたが、これからは平均寿命も100歳に迫る時代になるので旧来の制度設計や個々人の人生設計を見直す必要性があるというのが本書の概要であろうか。日本国内の状況をみても年金受給時期の繰り下げや定年の延長にその徴候が現れてはいるが、これらはむしろ国の財政上の都合といえる。3段階のステージからマルチステージに対応したやり方(例えば再教育など)を個人でも考えなければいけないのだ。

生まれた年代によるシナリオで、引退前にどれだけの貯蓄が必要の試算もあり、日本の例ではないにしろ参考になるだろう(現役の間にそこそこの割合で貯蓄しないと厳しいということなのだが)。

長生きすることに対して漠然とした不安があるのなら、それに対する答えが本書の中でみつかるかもです。

2019年1月3日木曜日

「自分らしく働くパラレルキャリアのつくり方」三原菜央

勇気、助走、戻れる場所の3つを大切な点として挙げているが、お金に不自由していない人を除いて、「戻れる場所」がもっとも大切であると考える。パラレルキャリアであるにせよ、新しいキャリアであることには変わりなく、そこに100%乗っかっていくには危険が大きい。リスクヘッジの上でも戻れる場所が必要で、だからこそ、失敗に対して寛容になれるといえるだろう。ここでは副業ではなく複業といってはいるが、戻れる場所を考えるとはじめは副業から開始するのがいいのではないだろうか。

「学習性無力感」の説明にカマス理論を使っているが、他の1匹をいれると無力感が解消される点を除いて、ノミ(ダニだったか?)のジャンプが制約される例と同じだなと思った。無力さを学習する事例は他の動物実験でもよく引用されている。何度やってもダメであれば、ダメな要因が排除されたあとも「ダメだろう」と思い込み無力になるヒトでも同じである。

たいていの場合、個人で起業ということになるが、個人だから強みを発揮できる点がフットワークの軽い点だと言う点は同意できる。組織が大きくなるに従い意思決定の過程が煩雑になり、動きが遅くなるものだ。

やりたいことが見えない場合には「セカンド・クリエイター」からはじめよう=お手伝いから始める方法、は、弟子入りと似ているが、著者は「セカンド・クリエイター」と命名している。その道のプロにくっついて教えをこうあるいはその技を盗むというのは今に始まったことではないが、ネットの時代では弟子入りもそれほど難しくはない。本書で紹介されている副業・複業支援サービスから可能であろう。
副業・複業支援サービス
ココナラ
ビザスク
SCOUTER
ストリートアカデミー
Teamlancer
yenta
「雨降り族はなぜ必ず雨を降らせることができるのか?」雨が降るまで踊っているからというオチ(!)であるが、継続の重要性のたとえとしてはおもしろい。つづけることが大事なのはわかるが、それが難しいこともあるだろう。だからこそ、続けることが苦にならないことを複業として選ぶべきであるといえる。