2015年2月15日日曜日

「人生には「まさか」の坂がある」 安里賢次

著者の金言とその解説で構成される本。前回紹介の本田健とは異なり、ちょっと生き方が破天荒であるだけに、人生論としては感じが異なっている。

「がんばりや努力はいらない。ただ波に乗ればいい。」
ここでいうがんばりや努力は、無理を伴うもので、要は「無理をするな」ということだ。
無理を伴う努力とは、その結果、健康を害してしまったり、人間関係にヒビが入るような努力のことだから、「努力はする必要ない」という意味ではないだろう。無理しない程度のがんばりや努力が必要なのはいうまでもない。
「波」は人の助けや運のことをいっている。生きていくうえでは、好不調があり、「何をやってもダメ」な不調期はある。そんなときは、潮流に逆らわずに流されてみることも必要だ。常にがんばり続けることは通常の人にとっては無理なので、いわゆる「勝負どころ」を見極めてそこで全力で集中することが肝要だろう。

「生きている意味はない。誰かのために生きてはじめて意味がある。」
さらに「人生に意味はない」と言い切っている。人生に意味を持たせるために生きるのだという意見もあったかと記憶しているが、思い切った意見である。でも
「あなたの人生が徹底的に無意味ならば、他人のために活用すればいい」
といっている。結局、他人からの承認に対する欲求があるのが人間なので、他の人に役立つように考えるのは人生に意味をもたらすのだろう。


生きていくうえで経験を積むことで学習できることは多いが、一朝一夕には経験値を上げることはできない。こうした本から他人の経験を自分の経験値として上乗せすることができるのではないか。

2015年2月9日月曜日

「これから、どう生きるのか」本田健

著者については説明するまでもなく、これまでに生き方に関しての著作が多い。本書では、「生き方」に関していくつかの項目にわけ、さらにそれらを細分化して見開き程度で読める体裁としている。

「2.お金」では、お金に感謝することを説いている。通常考えるとバカらしく思えるが、他でも同様のことを勧めている本はある(例えば、お金を大切に扱いましょうなど)。科学的に説明できないことは好まないのだが、お金を大切にする姿勢や態度が潜在意識に働きかけてお金を呼び込む作用をするのではないかと想像してしまう。

「7.健康」の項では、「健康法は自分の体質で選ぶ」といっており、これはまさに「養生法は人それぞれ」で取り上げたことと同じである。「バランスのよい食事」はほとんどの人にとってよいが、「すべて」の人に対してではなく、あくまでも「一般的」「平均的」な人の場合である。最近、禁煙治療を勧める広告で「禁煙により○年間寿命が延びます」といっているのを耳にするが、それは統計的に正しいことであり、例外は存在するのだ。なので、最終的には、自分にとっての「健康法」を見出すしかない(基本的な方法はあるとは思いますけど)。

「8.運と運命」では、「人生は不平等だが公平にできている」と、時間は1日24時間であり公平に分配されているといっている。「運命」については、「宿命」を引き合いにだしており、「宿命」は宿る命で生まれたときには決まっているもの、一方で、「運命」は運ぶ命で自分で変えられるものと区別しており、だから自分の力で何とかなる部分もあるのだといっている。「人生は筋書きのないドラマ」とも例えられるが、著者の見方からすると、大まかな筋書きは決まっているが、アドリブを入れる余地が十分にあるといったところか。


生き方に対する考え方は十人十色である。最終的に決めるのは自分しかないが、こうした本は何らかのヒントを与えてくれるだろう。

2015年2月1日日曜日

「世界最強の商人」 オグ・マンディーノ

原著は1968年に出版された、いわゆる自己啓発本の一種である。もっといえば、セールスマンとしての成功ノウハウ本の一種ともいえるだろう。

単なるマニュアル本ではなく、ものを売るための秘訣が巻物10巻に書いてあり、それに従っていくという物語的な体裁をとっている。「ユダヤ人大富豪の教え」と似てるかもと思ったが、時系列でみるとこちらの出版が早いのはいうまでもない。

各巻には、それぞれの教えと説明がある。

第6巻では、「今日、私は自分の感情の主人になる」で、感情のコントロールの重要性を説いている。感情の支配に関して、
弱者とは、自分の感情が行動を支配するのを許す人のことである。
強者とは、自分の行動によって感情を支配する人のことである。
といっている(p.130)。例え大人であっても、自分の感情によって行動が大きく影響されるヒトを見かけるのは実はそれほど珍しくはない。まるで、子供のように。そうならないためには、常に自分の感情の様子を客観的に見ることが必要だろう。


第7巻では、「私は世間を笑おう」といっているが、これはそのままでは誤解を招くかもしれない。要はいつも笑っていればよい影響があるということだ。(マック赤坂氏のイメージか。)でも、笑いを保てない困難な状況に遭遇することもあるだろう。そうした状況に対しては「これもまた過ぎ去っていく」と言い聞かせようといっている。「感情の主人になる」に通じるところがあると思う。




物語として、キリスト生誕前後のころの設定としている。そういった背景からもキリスト教の多い欧米ではこの本がさらに受け入れやすかった素地があったかもしれない。また、50年近く前の状況を考えると、それほど出版物があふれていたわけではなく、ましてやネットもなかった時代であったので、この本が爆発的なヒットとなったのかもしれない。
ほぼ、これまでに読んだ類似の啓発本と近いことが多いと感じた。この本から影響を受けているのかもしれないし、あるいは、成功に関しての原理原則はそう変わるものではない証であるかもしれない。