2018年11月5日月曜日

「10年後の仕事図鑑」堀江 貴文, 落合 陽一

「仕事図鑑」とはいっても、図鑑的な部分はかなり限定的で、仕事や未来やお金に対する著者らの考え方が記述されている内容だ。技術の発展速度を考えると、これまでの10年間とこれからの10年間で、同じ速度で世界が変わるとは予想しがたい。そもそも未来はわからないものだから、そこを論じても仕方ないとホリエモンがいっているのは至極当然であろう。
無くなる仕事、生まれる仕事、伸びる仕事といえば、こちらでネット記事を紹介した。

これからの労働に対しては「誰もが遊びでお金を稼げるようになる」といって、ユーチューバーの例を挙げている。確かに、こんな仕事は10年前には想像もできなかった「新しい職業」である。遊びと仕事のシームレス化あるいは遊びの延長に仕事がある、または仕事に没頭できるのは遊びから始まったからという指摘は理解できる。しかし、それはやはり「理想」の域を出ないのでは?というのが個人的な考えである。そんな理想型は現実的には一握りの才能に恵まれた人だけがたどり着ける境地なのではないか。事実、頑張って芸人を目指してもそれだけで生計を立てることができるのは少数派である。プロスポーツの世界はそれがはっきりとわかる。
遊んでいても生きていけるためには、「ベーシックインカム」を導入すればよいのは同意できる点だ(小さい政府が可能となるにせよ、日本人に馴染むのかは微妙だが。)

以前に「10年後に食える仕事食えない仕事」という本を紹介しているが、こちらでもオンリーワンが重要なことをいっている(もう5年前のことだ。)しかし、凡人ではボルトのような足の早いオンリーワンな人間にはなれない。つまり、一つのことだけでは100万分の1の希少な人間には我々ではなることが不可能だ。その解決法として、100人に1人くらいの希少性を持ち、それを複数持てば掛け算で100万分の1を実現できるといっている。それでオンリーワンを実現できるが、やはり凡人にはそれでもハードルが高いと思えてしまうのだ。

学生が「何をしたらよいかわからない」の問に、落合氏は「まずは夕食から決めよう」と返答するらしい(p.237)。まあ、小さいことから決めていくことは理にかなっていることであるが、ずいぶん学生もバカにされたものだなあと思う。個人的には、何をしたらよいかわからないのはある程度健全な姿である気がするのだが。昔と学生気質も変わったのだろうか。