2013年1月12日土曜日

「悩める人の戦略的人生論」 中野 明

 本書では、経営学で用いられる理論を、自分の仕事が向いているのか、あるいは人生をどう生きるか(主に働き方の観点から)といった悩みに応用する試みがなされている。戦略策定の重要性、環境の分析手法(SWOT分析など)、差別化の必要性など、ビジネス書で語られている理論についての概要が述べられている。
ビジネス理論を人生設計に応用しようとしている点が特徴的であり、経営理論の概略を知る上でも役立つであろう。

この本で、「ブルーオーシャン戦略」と「体系的廃棄」についてはじめて知った。

■ブルー・オーシャン戦略
激しい競争が繰り広げられている市場を「レッド・オーシャン」、ライバル企業のいない未開拓市場を「ブルー・オーシャン」と定義し、このブルー・オーシャンを創造すための戦略。
市場で重視されている価値に対しては
 「取り除く」
 「大胆に減らす」
市場で重視されていない価値に対しては、
 「付け加える」
 「大胆に増やす」
これらの4つのアクションを考える。この戦略に基づいた例として「iPad」が挙げられている。
これまでは、価値を高めるといえば「付加価値」と言われてきたように、「足す」ことが強調されてきたが、むしろ、除いたり減らすことによって価値を見出す点は興味深い。
(「大胆に減らす」ことを生き方に当てはめると、まさにミニマリズムに通じるものがある。)

■体系的廃棄
古くなったものを捨てる方法として体系的廃棄が紹介されている。
「まず、現在やっていることをやっていないと仮定する。その上で、今からでもそれを実行するかを考える。もし、答えがノーならば、その活動は即刻廃止する。」
例として禁煙が挙げられている。
結局は今持っているけれど、「ない」場合でもなんとかなるものが該当するだろうか?買ったはいいけれどいまや袖を通すことのない服を持ち続けることが該当するだろう。今持っているものや、やっていること(時間を費やしていること)が、本当に必要なことであるかどうかを見直せということであろう。


本書では、経営理論だけではなく個人の働き方に通じる点として、「何をやるか」を考えるとともに「何をやらないか(捨て去るか)」を考えることの重要性も示している。



「何をやらないか」を真剣に考えるのは、若い世代ではなく、残された時間の少ない「若くない」世代なのでしょうかね。

0 件のコメント:

コメントを投稿