2013年1月1日火曜日

本:モチベーションで仕事はできない

「仕事をやるにはモチベーションが必須」という態度に対して、本書では「モチベーションだけではだめなのだ」と解析しており、経験から「モチベーションがたとえゼロでも仕事をできる仕組みをつくることが必要」と言っています。

第4章の「やる気が出ない自分を突き動かす方法」では、実践的な項目が具体的に挙げられています。そのなかでも、「区切りの悪いところで区切りをつける」はユニークだと思います。仕事の区切りをあえて悪いところで意図的につけることで、仕事の再開時のスピードを戻そうとする意図によるものです。書類を仕上げるときでも、通常であれば区切りのよいところまで進めて気分良く続きを翌日に取り掛かろうというのが通常でしょうが、区切りの悪いという「気持ち悪さ」をうまく利用する方法だと思います。

第5章では、成果を出し続ける人の8つの習慣として、以下が挙げられています。
1.個性を追求することをやめよう
2.心が折れる自分を肯定する
3.作業標準書をつくり、仕事の「工場化」を狙おう
4.パソコンソフトのショートカットを覚える
5.もうパソコンで疲れない
6.情熱がなくても情熱的に語れ!
7.つねにテンパるぐらいに仕事を入れておく
8.靴とメガネを替えてみる

2.については、仕事での壁にぶつかり心が折れることがあってそれに思い悩むことがあるにしても、その悩む自分をそのまま肯定することを勧めています。その問題を解決に丁寧に対応するか、時間の流れに任せるか、環境を変えるか、いずれを選ぶにしても、思い悩むことを否定しないことが説かれています。

3.については、仕事の流れをルーチン化して、モチベーションに関係なく、仕事をさっさとこなす流れをつくることを目指してます。やる気の有無にかかわりなく仕事をできるようにするという本書の一貫した趣旨を支持しています。
他の項目については、そのままの内容です。

6.についてはその通りだと思います。
情熱的に語る効能として①周りの人間を遠ざけることがない、②年長者から信じてもらえる、③情熱的に語るほど自分も勘違いしだすの3つを述べています。①と②に関しては、熱い人と冷めた人でどちらが周りにうけがよいかを想像すれば分かることだと思います。③については、気持ちが冷めた状態でも、情熱的なフリをすることで、だんだんと情熱的な状態になることしょう。内面の変化は外面からという点は、楽しくなくてもまずはスマイルするということが本書のほかでも述べられてます。

7.については、できるだけ仕事の負荷を増やすことで、逆に仕事の効率化が可能になり、その忙しさが身体化する(これを「荷重主義」と著者は呼んでいる)と言っています。「負荷をかける効果」は同意できますが、ただし、人によっては負荷がかかりすぎるとパニックになって逆効果になることも考えられますから、人によりけりでしょう。


「批評家よりもつくりだすひとへ」では、「赤えんぴつサラリーマン」と「黒えんぴつサラリーマン」という例えをしています。人の批評ができ、他人の文章を赤鉛筆で問題点や不足を指摘できる人間ではなく、自分の主張を述べたり作り上げたりする後者の人間をめざせと述べています。
建設的な批評家と呼べばよいのでしょうか。私の経験からも、「ダメだ」と批判するばかりで「どうすればよいのか」を言わない(言えない)ひとはなんだかなあと思います。結局は、批判とその代替案の提示は必須であり、言い放つのでよければ、それは政権をとれない某政党と同じなのではないでしょうか。


モチベーションはバブル崩壊後につくられたものと指摘しており、また、自己啓発本に関しては「哲学書を読みこなすことができれば不要だ」と論破しています。


仕事に対する考え方に加えて、きわめて実践的なテクニックまでも網羅している、即効性のあるビジネス本です。


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