2013年1月20日日曜日

「百匹目の猿」 船井幸雄

「ある行為をする個体の数が一定量に達すると、その行動はその集団だけにとどまらず、距離や空間を超えて広がっていく現象」が「百匹目の猿現象」と呼ばれています。ここで「百匹目」はその一定量を便宜的に数値化した比喩的表現です。

著者は「どこかでだれかが何かいいことをはじめると、それは必ず集団内でマネされ、そのマネの数が一定数に達すると遠く離れた場所でも同じ現象がはじまり、社会全体に浸透していく」と主張しています。だから、各自が自覚をもって生きることを心がければ、それが共鳴して社会全体が良くなり地球環境や人類の将来のためになると考えています。その共鳴が「波動によって」起こる点については、少し理解できませんが、世の中には科学で説明できないこともありますから「何か」があることは否定できないでしょう。

「人相と生き方」については以下のように述べています。
人相は生き方そのものを反映しており、笑顔と感謝を絶やさない正しい生き方をすればおのずとよい人相になる。そしてその生き方は、
人から奪うのではなく人により多く与えること。
他からもらうより多く与える生き方を心がけること。
心を楽に保ち、ストレスをためないこと。
明るいプラス発想で、良心にそって生きること。
何にでもやさしく、我欲を押さえ、バランス感覚にすぐれ、本物をよく見聞きすること。
自然に反する生き方をやめること。
人の悪口や欠点を口にしないこと。
何かの宗教の戒律っぽいです。これらの生き方を実践できれば「悟りの境地」でしょう。日常これらを心がけていれば将来悪い人相にはならないでしょうね。。
私の場合、できるだけ否定的な言葉を他人に対しても自分に対しても発しないように気をつけています。自分に否定的な言葉では、自己の潜在的な意識がダメージを受けると考えているからです。笑顔を絶やさないのは難しいですが、心が沈んでいても、あえて外面を変えてみることで心も変わることは可能だと思います。「カラ元気」も案外、その効果はバカにできないと思います。

教育については、自分のためには「師」となる人物をもつこと(今風に言えばメンターでしょうね)、また人を教育するには盆栽方式ではなく野菜方式をと、言っています。つまり、形を整えて型にはめるのではなく、いろんな形のままでそれぞれを大切に育てる姿勢が大切だと述べています。また、この考えから、「短所に目をつぶり、長所をほめる」方法がずっと効率のよいことを述べています。自分自身を変えたいと考えるときでも、欠点を修正して長所にしようとするよりも、欠点はそこそこ平均点にまで上げるようにがんばって、長所を伸ばしていくほうが効率的でしょう。「選択と集中」という経営の考え方にも似ています。

部分的には、内容に関しては少し宗教的な感じがするのは否めません。しかし著者は経営コンサルタント会社の偉い人であり、いい加減な内容ではないと思います。生き方のヒントになる一冊。



百匹目の猿 「思い」が世界を変える

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