ずいぶんと久しぶりに読み返しましたが、コミュニケーション力アップ本として良書であることを再認識しました(だからこそ、未だに重版されているのでしょう。)
本書で指摘している一番のポイントは「自分のメディア力を高める」ことに尽きます。
ここでの「メディア力」とは「信用(信頼)力」と、「自分という人間の中身を、きちんと相手に伝えるチカラ」と言い換えることができるでしょう。
「メディア力」は、時代性とか、運とか自分でどうにもならないものもあるが、
日ごろの、立ち居ふるまい・ファッション・表情。によって形成されると述べています。
人への接し方、周囲への貢献度、実績。
何をめざし、どう生きているか、それをどう伝えているか?
「メディア力」の大切さは、「何を」伝えようとしているかよりも、「誰が」伝えようとしているかで受け手の反応が異なるという事実からも明らかでしょう。「誰が」のメディア力が低ければ伝わらないということです。同じ記事を「日経新聞」が伝えるのと「スポーツ新聞」が伝えるのとでは、後者ではあまり信憑性を持った記事として受け入れられない例が挙げられています。
また、「人は中身をよく知って判断されるのではなく、その人の情報で判断される」からこそ、「メディア力」が重要だと述べています。通常、その人の「内面」ではなく印象や周囲の評判で判断されることから、「自分がどう見られているか」という点をよくすることが重要だということです。そもそも、「他人」を内面から理解するには、相当の時間を要することは間違いないでしょう。
「自分」を伝えようとするには自己アピールは重要ですが、アピール下手であれば無理する必要はない、むしろ「謙虚」という点を生かすべきとも述べています。
根も葉もない噂が立った時に、変に釈明しても納得してもらえない、その理由はその時点で当人のメディア力が低下しているからだという見方は面白いです。(だからそんな時は、メディア力のあるスピーカーの援助が必要だと述べています。)
会話のコミュニケーションで重要なこととして、相手の「根本思想」を理解することを挙げています。「根本思想」とは、その人を発言に向かわせている動機・想いのことです。つまりは言葉では表されていない言外の意図や意思を「汲み取る」、あるいは「察する」ことが重要であるといえます。
超能力者でもない限り、相手の心を読むことは不可能です。しかしその相手が職場の同僚など近い人であれば、普段から相手に興味を持って接することで、多少は意図を読みやすくなるのではないでしょうか。「好き」になる必要はないですが、「無関心」では根本思想の理解はままならないでしょう。
「メール」で伝わらない、どうしたら伝わるかについてもわかりやすく解説されています。具体例が多く紹介されている点で実用的です。
論理的に話す、聴く技術については他の本と書いていることに変わりありませんが、やはり実用的な知見からまとめられています。
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