2013年5月4日土曜日

「希望の仕事論」 斎藤 貴男

サラリーマンなら「独立」することを考えたことがあると思います。
会社に入る前から「そのうち辞めて独立」と計画している人もいる一方で、サラリーマン生活がいやになって「独立でもするか」という人もいるでしょう。(まだ後者が主流ですかね。)

本書では成果主義が日本に導入された弊害と、会社を辞めて独立することの良し悪しを中心として、著者の、記者からフリーランスのジャーナリストになった経験が語られています。
「独立」といっても、「コンビニ経営」はやめといたほうがよいと、データをもとに解説しています。
また、やみくもに「独立」を勧めているわけではなく、会社勤めで吸収できることを吸収してスキルをあげることができたら独立してもいいし、そのまま会社勤めでもよいと述べています。

雇われの立場であれば、人間関係やもろもろのストレッサーで悩まされることが多いでしょうが、会社員だからこその利点もあります。ハード面では、パソコンや印刷を使わせてくれるし、また、必要な本や資料も入手できます。また、ソフト面では、何か困ったことがあれば、基本的に「タダ」で教えてもらえます。例えば、パソコンの操作でトラブっても同僚に聞いて解決できるはずです。このサービスを外注するとそんなに安くないです。たぶん、会社を辞めてはじめてこうしたありがたさに気付くのしょう。(出所は忘れましたが、同様のことが他の本に書いてあった記憶があります。)

「社内ベンチャー制度」があれば、雇われの利点を生かしつつ、完全独立に付随するリスクを少なくできるので魅力的です。ただ、最近はこの制度もあまり耳にしなくなりました(ちなみに、"entrepreneur"対して"intrapreneur"と呼ばれるようです。)


「独立するかしないか」の二元論に陥るのではなく、「自分が何をしたいか」ということをベースとして独立するかどうかを選べばよいと思います。ただ、本書の最初で成果主義の功罪に言及しているように、会社に長居しにくくなった時代では、独立への圧力が高まっているでしょう。

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