2018年5月6日日曜日

「一流の人は上手にパクる」俣野 成敏

 ビジネスセンスに富む提案ができるための事前のネタ仕込み、それが人真似によるということらしい。それを「大人のカンニング」と呼んでいる。
要点は、①情報収集力、②情報変換力、③情報応用力、が必要ということで、①では、ちょっとした感情の動きに着目することが収集力に磨きがかかるといっている。具体例の中で、「タウリン1000mg」を挙げている。単位をgではなくmgとしていることで含有量を多く見せている(当然ながら1000mg=1g)。
「なんでだろう?」という見方が大切であり、著者はウォールマートのグリーターを挙げている。これは、入り口にいる挨拶係なのだが、万引きの監視員を兼ねており、目立たないように配置するためらしい。ここを読んで思い出したのが近所のショッピングモールのなかにある本屋の「椅子」である。そこでは店の奥の方の本棚の脇に椅子が配列されており、客はそこに座って本を読める(立ち読みならぬ座り読みだ)。これは客に対するサービスというよりは、万引き防止に客を利用しているのではと思える。
グリーターの例とは反対に、近所のスーパーでは制服巡回員が配置されており、この場合は、あえて目立たせることにより、万引きの抑止効果を狙っているのだろう。まじめな客としては、あまり良い印象を受けないが、そこまで万引きの被害が大きいということか?

好奇心が乏しくても好奇心をもつ機会を増やすために、「好奇心をルール化する」という提案はおもしろい。著者は具体的には「街頭で配られているものは拒否しない」ルールを作っている。興味のない対象に対してもオープンであれということだろう。他の本では「あえて読むことのない婦人向け雑誌を読もう」というのがあった(女性では男性誌か?)。なお、尊敬していた昔の上司のルールは「小さいことでも毎週一つは新しいことをする」で、行ったことのないレストランに行くとかを実践していたようだ。これも見習えることだろう。

②「情報変換力」については、その下ごしらえの方法の一つとして「勝手にコンサル」を勧めている。具体的には、何らかのサービスに不満や疑問があれば、「自分だったらこうする(させる)のに」という考える習慣を身につけることだ。

③「情報応用力」では、掛ける、引く、割り切るで新しいアイデアが生まれるといい、QBハウスやブックオフの例を挙げている。応用としての足したり引いたり掛けたりの手法は、見渡してみるとそれほど目新しくもなく、特許明細書を書く場合にも新規性や進歩性を出すために既知技術✕既知技術で考えたりする。

各章にまとめがあるのでそれを参照いただきたい。自分なりに要約すると、「常にアンテナを張って、好き嫌いに関係なく情報をストックし、そのストックからいろんな組み合わせで新しいことを生み出せる」「引っかかった情報に対しては、なぜそうなのかを問う」ということだろう。

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