2018年5月4日金曜日

「1億円貯まったので、会社を辞めました。」坂口一真

本のタイトルが刺激的であるので、手に取ってみた。が、想像よりも残念な内容だと言わざるを得ない。サラリーマンがそこそこの歳(50を超えてから)やめる時点で1億円貯まっていて、それがなぜ貯めることができたのか、を教えてくれる内容である。全71節の小見出しがすべて「~だから貯められた」なのだが、かなりの部分でこじつけ感が否めない。つまり、「お金がたまったこと」と、著者が記述した「やったこと」がリンクしているか疑問なものが多いのだ。

個人的にツッコミを入れたくなったものを以下に挙げる:
スポーツジムでトレーニングしなかったから貯められた(p.126)
有料会員の小洒落たスポーツジムよりも、公共のスポーツセンターを活用したほうが「貯まる」というのだが、あまりにも自明すぎないか?それであれば、民間、公共に限らず、ジム通いに替わるものを選んだほうがいいんじゃないかと思うのだ。私であれば「本を買わないから貯められた」をいれて、図書館利用を勧めるのだが…

かみさんのあとを歩いていたから貯められた(p.198)
ここで、「節電」についての実践が記されている。便座ヒーターのスイッチングを年に2回だけとあるが、特に自宅用途であれば、便座ヒーターなしでもなんとか凌げるのではと思うのだが。特に最近は良い便座カバーもあるし、こだわるならばそこまでして欲しいと感じた。

危機はあせらず乗り越えたので貯められた(p.228)
保有株の暴落局面で株を買い増しし、その後出資額程度にまで回復した経験から、
”危機はあせらず乗り越えれば、素人でも何とか「貯まる」のです。”といっている。ただし、厳密に言えば、「乗り越えられれば」で、ここでは著者のケースでは結果OKであった事実を述べただけである。素人がナンピン買いをすることで危機を乗り越えるなんて、あまり一般的でないと思うのだが。


それでも役立ちそうなもとは以下:

愚痴の会?に気がついて貯められた(p.23)
勤め先での、愚痴のための飲み会に参加することの無駄さ(経済的のみならず時間的にも)を説いている。愚痴ることは度が過ぎるとマイナスのパワーを発揮するので、私も同意見である。勤め先の不満が大きいなら会社を辞めるべきだし、それができないのであれば、そんな愚痴しかでない駄目会社に勤めている本人はさらにダメ人間であることを自認していることにほかならない。

服は流行を追わず、スーツは安物を買わなかったから貯められた(p.173)
流行に流されない、長く着れるスーツが長期的には得であるということだが、特にビジネスマンには目新しいかもしれない。

医療保険は元が取れないと思ったから貯められた(p.212)
保険の意義や経済性については、他の本でも触れられている。一番覚えておかないといけないのは「高額療養費制度」で、この制度を利用すれば一定額以上の支払いは必要ない。

一つの経験談、つまり、サラリーマンが早期退職して貯蓄できたのはこうした理由だと本人の言葉から知るには使える本かもしれない。ただし、過去30年と今後30年が同じであるはずもなく、参考程度の情報として受け取るべきであろう。

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