著者がバブル期に美術品蒐集にお金をつぎ込み、また、仕事に没頭して時間を奪われていたそれの反動から、お金で買えない「見えない資産」の重要性を説いています。バブル期を知っている人には懐かしく、知らない人には新鮮かもしれません。著者の半生を知ることができます。
フランスに住んでいた経験から、フランス人の生活信条"Art de vivre" (アール・ド・ヴィーヴル)、すなわち、
国よりも、産業社会よりも、自分自身の人生と人々との関わりを大事にする生き方を勧めています。しかし、そんな生き方が日本に馴染むのは難しそうにみえます。なぜなら、日本とは文化的歴史的背景が異なるからです。日本のかつての近所との関わりの強かった時代の生き方と、アール・ド・ヴィーヴルとはまた違うんだろうなあと想像します。生き方を考える上では、日本とは違った見方を知ることはとても役立つと思います。
「時間感覚」についての部分で、
「10年先の夢を実現するために、その夢を、今に、1割だけ紛れ込ませる」と具体的に述べています。
この考えがすばらしいのは、以下の2点です。
(1)今やっていることを直ちにやめるわけではない.
例えば「明日から作家を目指すので、会社辞めます」といっても、リスクが大きいです。(経済的な拠り所があれば別ですが。)
(2)今と10年先を結びつけて夢に向かっていくことができる.
将来を夢見ても、そこに具体的につながることが「今」なければ、その夢は、来年も再来年も、永遠に手の届かない「10年先」の夢だからです。
あれもこれも買ったりやったりするmoreをやめて、自分の持ち味を生かすためのcoreを見つけるor作り出そうと述べています。moreをやめるのは「ミニマリズム」に通じるものがあります。
精神的な豊かさと物質的な豊かさについては、最終的には個人の価値観によるでしょう。(私は身軽さを求めたいので、物質的な豊かさにはこだわりたくないです。)
「ワークライフバランス」を考える参考になる本です。
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