2013年3月10日日曜日

「なぜ上司とは、かくも理不尽なものなのか」 菊澤 研宗

「上司の理不尽さ」というよりは、「一見、理解しがたい上司の行動には、それなりの合理性がある」ことを考察しています。そして、上司だけではなく、外から見た「非合理的」な組織の行動にも、その組織からみた「合理性」を持っていることを、企業ぐるみの不正隠ぺいの例を挙げて説明しています。

別の本にも書いてあったと思いますが、特に会社のなかで偉くなるにつれて「保守的」になるのは、「失うものがでかくなるから」と書いてありました。「何か新しいことをやって失敗すること」と、「何もやらずに失敗のないこと」では、年をとるほど「後者」を選ぶでしょう。特に責任が問われることであれば、「保守的である」合理性は、年齢とともに割合を増すでしょう。ただし、新たな機会を失う危険があるという点からは、企業全体としてみると合理性を欠いていると思われます(だから本書で言う、「限定合理性」なのでしょう。)

「理不尽な上司の下で働き続けることが合理的か」についても触れています。転職よりもそのまま辞めずにいたほうが経済的には合理的に見えるが、精神を病むようであれば、その健康上の損失までを考えたほうがよいと言っています。「合理性」も視点をどこに置くかで変わってくることを示す意見だと思います。



問題を相対化して小さく扱うつもりはありませんが、世の中、上司だけでなく理不尽な状況はごろごろしているものです。ものの見方を変えてみるのも処世術のひとつでしょう。他人の考え方を変えることは容易ではありませんが、自分の考え方を変えるのは現実的な選択です。

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