2013年3月3日日曜日

「仕事耳を鍛える―「ビジネス傾聴」入門」 内田 和俊


「話すよりも2倍聴くために耳は二つあるのだ。」と誰かが言っているように、うまく話せること以上に、聴くことが大切です。

この本では、ビジネスに使える聴き方として、まずはレベルⅤの聴き方をして、それからどう対応したらよいのかのレベルⅠ~Ⅳにシフトする方法を紹介しています。つまり、レベルⅤで診断して、Ⅰ~Ⅳのどの処方をしたらよいかを考えるということです。レベルⅤの聴き方は「SYP傾聴」で、「相手の立場になり、相手の個性に共感しながら、話を聴く( Symphathyze with Your Personality)」やり方です。

ただし、いちいちこの聴き方では身が持たない(職業カウンセラーは別でしょうが)ので、その後に状況に応じて聴き方を変えるのが現実的だという考え方です。「聴く側の姿勢」として、話す相手が、共感してほしいのか、愚痴を聞いてほしいだけなのか、あるいは、何らかの指示やアドバイスが欲しいのかを判断して聴き分けるのが肝心であると述べています。場合により聞き流すことも重要と言っています。

ある意味、「空気を読む」重要性を説いているとも言えます。そのために、言葉だけでなく、その時の様子や表情などで、相手の「真意」を見抜くことが重要でしょう。相手の真意を読みとれるためには、相手の変化に敏感な必要があるので、相手に対して関心を持つことも必要だと思います。結局は、普段からよく見ていないと、その時々の微妙な変化に気づくのは不可能に近いからです。


仕事がいっぱいいっぱいで余裕がなくなると、聴く余裕もなくなり、こうなると、コミュニケーションに齟齬が発生する可能性が高まるので、なるだけみんなでサポート、分配して仕事をすることの重要性も指摘しています。あまりにも仕事の負荷が多くなりすぎると聞くことはできても聴けなくなるので話しが通じなくなってくるのは理屈にあっているのでしょうね。


生まれ持った「聴く力」は、人によって違うでしょうが、ここでの理屈を理解して状況に応じた「聴き方」を選べば、多少は聴く能力が上がるかもしれません。



聴く重要性を侮るなかれ、です。

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