2013年4月14日日曜日

「なぜあの人とは話が通じないのか?」  中西 雅之

対人コミュニケーションに関して、実用的な問題対処法のコツに加えて心理学的な理論的な基礎が紹介されています。

非言語コミュニケーションの重要性に関しては、声や顔の表情だけではなく、その人の服装など見た目にも注意を向けるべきだと述べています。ビジネスマンの身だしなみが重要で、さらに靴が重要である点を挙げています。アメリカでは女性が男性を見るときには靴をみて値踏みするらしいと述べられています。似たような話を私も聞いたことがあります。営業マンが信用できるかどうかは、その人の靴を見ればわかると。駅構内の上り下りでスーツを着た男性の靴を注視してみると、たまにひどくくたびれた靴を見かけることがあり、人ごとながら心配になります。

また、初対面では最初の5分間でその人の印象が決定づけられ、その第一印象でその人の評価が決まるので注意が必要と言っています。いわゆる「暗黙の性格観」により、例えば「ハキハキしている」という印象を受け手が感じたら、そこから芋づる式に勝手に良いイメージを受け手が作り上げられるそうです。この場合、興味深いことは、その相手がイメージした性格は、実際の性格を反映しているとは限らないという点でしょう。反対に、初対面の印象で神経質さがイメージされてしまうと、そこから「神経質」→「心が狭い」→「人に話を聞かない」→「身勝手」といった、否定的な評価をされる可能性があるということです。
よく言われる、「人間、中身が大切だ」ということは否定しませんが、中身を磨くことに加えて(あるいはそれ以上に)「見た目」を気にするべきでしょう。このことにもっと早く気づいていれば人生変わっていたかもしれませんが(笑)。

日本人とか外国人という大きな違いだけではなく、世代間や男女間で起こるコミュニケーション不全についても分析しています。その理由として「文化の違い」を挙げており、その文化の違いとは、日本と海外といった大きな文化だけではなく、世代間、男女間でも観察される文化の違いであると述べています。

著者のプロフィールを見ると、「英文学科コミュニケーションコース教授」となっているので、日本と英語圏との文化の違いからの視点の分析が丁寧になされているのは納得のいくところです。



この本では理論と実践が幅広く紹介されていますが、以前に紹介した「不都合な相手と話す技術」のほうが実際的な内容でしょうね。

0 件のコメント:

コメントを投稿