2016年9月4日日曜日

「フランス人は10着しか服を持たない」ジェニファー・L・スコット

邦訳本で、タイトルがよくできている。ぱっと見で「10着だけ?」と思うのではないだろうか?原題には「10着しか服を持たない」なんて書いてはいない。また、中では「10着(くらい)」と書いてはいるが、実際にはその10着に含まれないものとして、上着類、ドレス類、アンダーシャツなどがきちんと挙げられている。要はクローゼットにパンパンになるくらいの服は必要でなく、着ない服は処分するとか、着れなくなった服も処分し、少なめの服でも着まわせばよいということである。

家の中でさえキチンとした身なりでいることが大事とはいっているが、その点は庶民レベルでは違うのかなと思う。もはや育ちの善し悪しのレベルなのではないか。

アメリカ人の著者がフランスに留学した際に、フランス人の生活に触れて「シックな」ライフスタイルを発見して、それを実現するためのコツを挙げている。「シック」がやたらと出てくるのだが、このフランス語らしい単語も英語となっているようで、上品さや垢抜けしたことを示す名詞や形容詞である(やたら「シック」と出てくるが「chic」でなく「sick」を連想したりするが)。

「何を着るか」という「外見」も重要であるが、本質は、「どう生きるか」であり、品よく生きるためにはどうしたらよいかということが書かれている(それを「シックな」と呼んでいる。)
着るものはある程度コントロールできるものの、その人から漂う「上品さ」は一朝一夕にはつくることができないだろう。いわゆる「育ちがよく」なければ難しいかもしれない。しかし、どうすれば上品になれるかに気をつけておけば多少なりとも品のいい人間に近づけるのではないだろうか?

知り合ったばかりの人に対する質問として「最近なにか面白い本を読みましたか?」が最適だとあり、これは使えるも知れないと思った。もちろん、そうした質問のためには自分が本を読んでおく必要がある。

ミニマリズムに通じる点も多いが、同時に「オシャレ」でいることを目指しているので、質素とも違うのかなあという印象を受けた。フランスは洗練されているかもしれないが、別に日本だって素晴らしいと思うので書かれているすべてを受け入れる必要もないだろう。

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