2015年3月15日日曜日

「アイスランド 絶景と幸福の国へ」 椎名誠

 アイスランドは人口約33万人で、「火と氷の国」と呼ばれている。しかし、著者が訪れた感覚では、火山のマグマのように水が噴出している島で、水も多い島だと感想を述べている。
いかにも寒くて住みにくそうな印象があるにもかかわらず、アイスランドは数年前に「幸福度指数」が世界9位になっている。その実態や理由を探るのも、この旅のテーマだったとのことで、著者の旅行記のなかでは比較的マジメな部類に入る。

 物価がやけに高い(例えば500mlのペットボトルのコーラが600円)が、やはりアイスランドの幸福度が高いというのが結論である。
アイスランドとの対比で、東京を引き合いに出している。街に無秩序な広告があふれてキタナイという見方は同意見だ。みんな同じような服を着て通勤の電車に乗り込み、みんな同じようにスマホをいじるのは著者の言うとおり異様とはいえるだろう。自殺者が年間3万人あまりという事実は、幸福でない日本を売裏付けるデータの一つだが、街がごちゃごちゃしていたり、電車が殺人的に混んでいたりすると「幸福でない」と言い切れるのかは疑問だ。なぜならば、そういった混沌とした環境が好きな人もいるに違いないからだ。

 著者の写真もあるが、ナショナルジオグラフィック提供のカラー写真も掲載されている。アイスランドの景色は地球にありながらどこかの惑星っぽいともいわれる。旅行先としては相当にマイナーではあるが、資金に余裕があれば紹介された絶景を見に行きたくさせるような本だ。


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