2014年6月1日日曜日

「開高 健 電子全集7 小説家の一生を決定づけたベトナム戦争」

開高健の「輝ける闇」は小説であるが、その元になっているのはベトナム戦争における従軍記者としての経験である。その従軍記者としての期間に書かれたルポルタージュや小説、エッセイを中心にまとめたのがこの電子全集7である。

個人的には映画や小説に対しては2種類の人間がいると思っている。すなわち、同じものを何回も見たり読んだりすることが好きな人間とそうでない人間だ。自分は後者に属するので、同じ映画を何度もみることはまずないし、小説でも同様である。全集のこの巻中のベトナム戦争ルポを凝縮したものとして「輝ける闇」が書かれたことを認識していなかったため、なんだか同じものを読んでいる感じがしたことは否めない。

今や、ベトナム戦争もはるかに昔のこととなってしまった。ルポ以外に、著者が新聞や雑誌に寄稿した記事も紹介されている。それらによって当時のベトナム戦争に対する日本国内の空気を感じることができるであろう。


やはり内容を詳しく読むためにはインドシナ半島の歴史とか、フランスの教養などが必要かもしれないと感じた。図書館にも開高の全集はあるが、同じテーマでまとまって読むにはこのシリーズはよいかもしれない。

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