「働かないオジサン」と言われて、想像するオジサン像は人それぞれかもしれない。ここでは、サラリーマンの職場における「働かないオジサン」の分析と、そうならないためはどうすればよいかを示している。(なお、同じ著者の「人事部は見ている」を以前に紹介した。そちらは「会社の歩き方」とも呼べる内容だった。)
面白いのは、「働かないオジサン」の特徴として、「いい顔で働いていない」ことを指摘している点である。本書で類型化されているタイプでいえば「無気力タイプ」を想像するとわかりやすいだろう。
働かないオジサンを生み出す構造的問題が日本で特有なものだとし、その理由として「新卒一括採用」と「ピラミッド構造」の2点を挙げている。一般的に日本では、まとめて採用し、しかもその際にみんなが「同期」としてスタートすることになる。引き合いに出されていた銀行の例を考えるとわかりやすいだろう(ドラマ「半沢直樹」の感じですね)。また、そのなかではピラミッド構造のためすべての人が、課長や部長や社長になれるわけではなく、そうならなかった人は「働かないオジサン」化する可能性がある。この仕組みはサラリーマンの世界特有というよりは、官僚の世界のほうが顕著であろう。だからこそ、上位のポジションに登れなかった時点で関係省庁や関係団体に「天下る」システムができたのだろう。
日本的雇用の慣習の特徴として「メンバーシップ契約」を指摘している。会社と従業員は所詮「契約関係」でつながっているが、日本では被雇用者間でも、あたかもクラブのメンバーのごとく相互に協力することが前提となっている。これは「契約」とは文面化されてはいないが、入社面接では「みんなとうまくやっていけること」が前提となっている点を考えると理解できる。だから、定時になってもみんなが帰る時間でないと帰らないとか、飲み会には参加するとかいう傾向を招くのだろう(今の20代の世代では変わっているかもしれませんが、私の世代ではそうでした)。
これらの考察で、少し残念な点は日本以外の雇用状況との比較が十分でないと感じられる点である。もしも著者が外資系あるいは海外企業での経験があれば、さらなる考察ができたのではないかと思う。
40歳で遭遇する、組織で働くことの意味に悩む状態を「こころの定年」と呼び、人生の定年(死ぬとき)、就業規則上の定年と分けていることは興味深い。この「こころの定年」に正面から向き合っていない状態が働かないオジサンを生み出していると考察している。
最終章では「働かないオジサンにならないための7カ条」が示されている。第4条の「師匠を探せ」、第5条の「お金との関わり方を変える」は、他の本でもよく言われることだ。つまり、よいメンターを見つけろとか、仕事に直接関係しない飲み会では経費を使わずに身銭を切ろとかいうことである。
想定される読者は若いサラリーマンでしょうか。働かないオジサンへの対処法も記述してあるので、実用性はあるでしょう。
現在の20代が、働かないオジサンとなるかもしれない年代までサラリーマンとして勤めているかは疑問ですが、今、見られるそうしたオッサンを反面教師として学ぶ点もあると思います。
当ブログに訪問いただきありがとうございます。 自分の読んだ本のレビュー(メモ程度ですが)、語学学習の経験、そして猫についてつれづれなるままに書いています。なお、本に関しては、原則、『「タイトル」-著者』の見出しにしています。
2014年8月10日日曜日
2014年8月3日日曜日
「A French Girl in New York」 Anna Adams
キンドルでペーパバックを読んでいるが、基本的には通勤の電車の中でだけだ。帰りはぐったりしていることがあるので、その場合は読まない(というか、読めない。なぜなら、必要な集中力が減退しているので。)
それでも少しずつは進んでいるわけで、ようやく、この軽い小説を読み終えた。英語ネイティブであれば、主人公と同年代のティーンエージャー向けだろう。
あらすじ:
両親もわからず、ほとんど召使同様の待遇で育ての親に育てられていた少女Maudeが、ふとしたきっかけでニューヨークの音楽プロデューサーに才能を見出される。フランスからニューヨークに連れ出されるための手続きや条件で難航したものの、ついにフランスの田舎からニューヨークに行くことができた。そこで、身近な人間の裏切りなどがあったものの最終的にはデビューを果たす。ただし、ニューヨークに行くのは期限付きであり、半年後には元のフランスの田舎の育ての親の家族の下に戻らなければならなかった。メジャーデビューを果たしたにもかかわらず、フランスの育ての親から離れる条件は、半年後にはフランスに戻り、さらに召使同様の生活を強いるという契約だったのだ。しかし、その契約自体がおかしいことが証明され、Maudeは再びニューヨークに戻ることができた。(めでたしめでたし)。
と、あらすじを書いてみたが、全然おもしろそうでない(w)。そうではなく、ストーリーの展開のなかには、男女間の心理的な描写や、なぜ、Maudeが孤児になり、どういった経緯で育ての親に預けられることになったのか、また、新たな家族とのつながりが明るみになるところも織り込まれており、小説として楽しめると思う。ただし、ノンネイティブ(少なくとも私のレベル)にとっては、Kindle上で随時単語チェックはかかせなかった。
‐‐‐単語、表現メモ‐‐‐
([ ]内のNoはキンドルでのページ)
■squeeze someone's arm
人の腕をぎゅっと一瞬力をこめて握る《友情・感情・共感・同情などの気持ちをこめた友好的接触動作》[出典:しぐさの英語表現辞典]
"Dad said you knew all the classical composers?" asked Jazmine, squeezing her arm excitedly.[No.1017]
MaudeがNYで世話になることになった家族の一員であるJazmineが、Maudeがクラシックに造詣の深いことを聞いていたことをMaudeに確認する場面です。実は、最初はこの文の意味がつかみにくかったのですが、その理由が見直してわかりました。文法上はherがMaudeでなくてJazmineであることも可能だからです。しかし、自分の腕をぎゅっと握ることはほぼないと考えられれば、すんなりと意味がわかります。
簡単な単語でも組み合わせ等によって別の意味を持つ場合もあるので侮れないです。
それでも少しずつは進んでいるわけで、ようやく、この軽い小説を読み終えた。英語ネイティブであれば、主人公と同年代のティーンエージャー向けだろう。
あらすじ:
両親もわからず、ほとんど召使同様の待遇で育ての親に育てられていた少女Maudeが、ふとしたきっかけでニューヨークの音楽プロデューサーに才能を見出される。フランスからニューヨークに連れ出されるための手続きや条件で難航したものの、ついにフランスの田舎からニューヨークに行くことができた。そこで、身近な人間の裏切りなどがあったものの最終的にはデビューを果たす。ただし、ニューヨークに行くのは期限付きであり、半年後には元のフランスの田舎の育ての親の家族の下に戻らなければならなかった。メジャーデビューを果たしたにもかかわらず、フランスの育ての親から離れる条件は、半年後にはフランスに戻り、さらに召使同様の生活を強いるという契約だったのだ。しかし、その契約自体がおかしいことが証明され、Maudeは再びニューヨークに戻ることができた。(めでたしめでたし)。
と、あらすじを書いてみたが、全然おもしろそうでない(w)。そうではなく、ストーリーの展開のなかには、男女間の心理的な描写や、なぜ、Maudeが孤児になり、どういった経緯で育ての親に預けられることになったのか、また、新たな家族とのつながりが明るみになるところも織り込まれており、小説として楽しめると思う。ただし、ノンネイティブ(少なくとも私のレベル)にとっては、Kindle上で随時単語チェックはかかせなかった。
‐‐‐単語、表現メモ‐‐‐
([ ]内のNoはキンドルでのページ)
■squeeze someone's arm
人の腕をぎゅっと一瞬力をこめて握る《友情・感情・共感・同情などの気持ちをこめた友好的接触動作》[出典:しぐさの英語表現辞典]
"Dad said you knew all the classical composers?" asked Jazmine, squeezing her arm excitedly.[No.1017]
MaudeがNYで世話になることになった家族の一員であるJazmineが、Maudeがクラシックに造詣の深いことを聞いていたことをMaudeに確認する場面です。実は、最初はこの文の意味がつかみにくかったのですが、その理由が見直してわかりました。文法上はherがMaudeでなくてJazmineであることも可能だからです。しかし、自分の腕をぎゅっと握ることはほぼないと考えられれば、すんなりと意味がわかります。
簡単な単語でも組み合わせ等によって別の意味を持つ場合もあるので侮れないです。
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