2013年12月8日日曜日

「1泊4980円のスーパーホテルがなぜ「顧客満足度」日本一になれたのか?」 山本 梁介 

以前にスーパーホテルのことを書きました。
「スーパーホテル」に滞在して、人件費のことを考える
そこの会長の本をようやく読みました。

成功の秘訣は、別の言葉で表現すれば「選択と集中」ですね。
「100人の客のうち1人しか困らないようなサービスは切り捨てる」考えから、部屋に電話がないとか、冷蔵庫が空とかにしているみたいです。だからこそ、低料金を実現しているのだと。


マニュアルに基づいたサービスを超越した満足を提供するという企業理念は、ホテルが単に「宿泊する場所」を提供する場ではないことを意味していると思います。ホテルのようなサービス業であれば、人間である客と直接向き合うので、「マニュアル」だけでの対応に限界があるのは容易に想像できます。(対照的に、単純な製造現場であれば、マニュアルでカバーできる範囲は広くなるでしょう。)

マニュアルを超えたところに対応するためには、感性と人間性が重要であるとの考えから、スタッフの「自分磨き」を支援している点は独自であると感じました。読書を推奨しており、読書レポートのを提出すれば書籍代が支給される制度があるようです。ホテルに来て最初に接するのはフロントですから、従業員の品位はホテルの品質のひとつとして重要でしょう。しかも、品位は一朝一夕で上げられるようなものではないです。


スーパーホテルのことの他に、本人のこれまでのビジネスの成功と失敗や、逸話が語られています。そこで触れられている「先義後利」の思想は、ビジネス書ではよく語られていますが、それを端的に表現した著者の父親の言葉はうまいと思いました。
「泥棒はなあ、金を盗もうとするから人から逃げられる。それなのに、お坊さんは托鉢で歩いているだけで、人がお金をくれる。人として正しいことをしていれば、お金は自然についてくるということや」
違う口から同じような言葉が語られるということは、商売における真理(=利益を優先して人の道をふみはずしてはならないし、そんなやり方は成功しない)が語られている証でしょう。

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