2013年9月15日日曜日

「夏への扉」 ロバート A ハインライン

SFですが、ネコが登場します。ネコ好きにはよくわかるネコの描写がでてきます。(逆にネコ好きでないと全然共感できないかもしれません)。著者がかなりのネコ好きであったことが容易にうかがえます。

例えば、主人公ダンのネコに対する見方として、
「猫にはユーモアのセンスがない。あるのは極端に驕慢なエゴと過敏な神経だけなのだ。それではいったい、なぜそんな面倒な動物をチヤホヤするのだと訊かれたら、ぼくには、なんとも答えようがない。」
という件があります。ネコ好きな私としてはよく理解できます。

物語の前半部分は、SF的な要素がほとんど出てきません。事業のパートナーであるマイルズとベルに裏切られた主人公ダンが、失意のあまり冷凍睡眠を決意し、その際に飼い猫ピートも一緒に冷凍睡眠するように計画します。ただ、その前に裏切りの真相を知るべく、マイルズの家に乗り込み、どのように騙されたかを知るところとなり、冷凍睡眠行きを思いとどまる気になります。しかしベルの策略で、一種の口封じのために冷凍睡眠に送り込まれます。ダンと一緒にいたピートは危うく始末されそうになったのですが、マイルズとベルに引っかき傷を負わせて外に逃げ出します。その結果、ダンは30年間眠り、その間にピートは「もしかして外で野良猫化して、もはやダンとは再会できない?」流れとなり、(ネコ好きであれば)ハラハラドキドキのストーリー展開です(結局はハッピーエンドとなるのですが。)

後半部分で、不本意ながら冷凍睡眠させられて30年後に目覚めたダンが、一種のタイムマシンで再び冷凍睡眠する前にまで戻る展開で、やっとSF的な流れとなります。


「30年後に冷凍睡眠で行って、そこからタイムマシンで30年前に戻り、そして再び冷凍睡眠で30年後に行く」ことをやっているのですが、「過去の自分がいるその時間と場所に、未来からの自分が存在できるのか」については疑問を持ちます。
また、過去を変えると別の未来へ行ってしまう、つまり同じ世界が平行に流れていて、過去を変えると別の平行した世界へいってしまうとも思ったのですが(パラレルワールドだったか…)。そういえば「バックトゥーザフューチャー」でも、過去に戻って将来の両親をくっつけるために奮闘するストーリーだったかな(結婚して自分が生まれないと、将来の自分が存在しなくなる)。

このあたりのツッコミどころはありますが、ネコのからんだSFとしておすすめの本です。
言うまでもないですが、kindle版だとかさばることもなく携帯に便利です。


翻訳でなく、元の英語版で読めば、また違った読み方ができるかもしれません。そのうちチャレンジしたいものですが… 

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