2015年5月31日日曜日

「吾輩は猫である」 夏目漱石

 冒頭のくだりである「吾輩は猫である。名前はまだ無い。」はあまりにも有名であるが、読んだことがなかった。いまや、あの青空文庫で無償で利用できるので読んでみた次第だ。
猫の目からみた人間の世界やそのおろかさについての話なので、「猫小説」とは少し違う。それでも、その主人公のネコが餅を食べてみようとして歯にくっついて取れなくなり「猫踊り」状態になる描写は笑えた。

「名前はまだ無い」から、最後まで名前がない状態で続くのだが、名前が無いからこその意義があるのだろう。名前のないことによって「特定の」猫であることを避けているのか。

このネコが銭湯を見物してそれを描写する場面がある。寒さをしのぐ実用的な要素を除いて、着物がどれほどの価値があるかを述べているが、これはもちろん著者である漱石のものの見方を反映させているのだろう。

旧字体や、いまやほとんど使われなくなった四字熟語が頻出するため、現代文ほどには読み進められないのが難点。猫がビールを舐めることが現実として起りうるのかは疑問だが、終わり方は少し切なさを感じさせる。


上記の青空文庫の元本を購入すれば紙ベースでも読めます。それなりのボリュームなので、外出先で読むならば青空文庫の電子版がいいかと思います(しかも無料!)

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