2014年5月6日火曜日

「僕がグーグルで成長できた理由」 上阪 徹

タイトルと著者を見て、この著者が「僕」(=グーグルの人)かと思ったが違った。この本は、著者がグーグル日本法人幹部の徳生(とくせい)氏へインタビューして構成されている。徳生氏の高校中退後から、その後のアメリカ生活とベンチャー企業での経験、そして、グーグルに入社してからのことが書かれている。ホリエモンの経歴と対比してもおもしろい。

高校3年で中退して渡米し、それからコーネル大を卒業後にスタンフォード大の大学院に進んだという徳生氏の経歴からみて、非凡な能力を感じる。一度だけの日本の大学受験制度に対して、アメリカではチャンスが多いし、総合的に判断されるから渡米を選んだと述べている。また、受験制度だけではなく、勝ち組負け組と固定されるのではなく何度もチャレンジできる文化がアメリカにはあると述べている。(結果がよくない場合であっても、英米ではその過程を評価する"Good try!"の言い回しがあることからもうかがえる。日本語では見当らない気がします。)


グーグルのすごい点はわざわざ言うまでもないだろうが、以下挙げてみる。
1. 会社としての目標が途方もなく大きい。
”ムーン・ショット”や”10x(テン・エックス)”といったキーワードがよく使われる。かつて行われたアポロ計画の月面着陸級の偉業や、今の10倍の価値を目指そうというビジョンを持つ。

2. 経営陣が世界の全社員に向けて毎週ライブミーティングを行っている。そしてライブで従業員の質問に対応する。(5万人規模の会社で、だ。)

3. 物事を徹底して数値で判断する。
その元となるデータから切り出して数値化し判断材料として示す。そしてそれをどう可視化してプレゼンし理解してもらうかも重視される。


リーダーシップに対しては、少ない情報でも決断を下し周囲を説得することができなければいけないと述べている。判断が正しくできるほどの情報を迅速に集められるほうがまれであることは容易に想像できるし、判断材料を十分にそろえようとすれば判断時期が遅れるだろう。
徳生氏がキャリアコーチに言われて心に残った言葉として、
"You don't always know if you are right. But you can work like hell to make it right."
「正しいかどうかは分からなくても、がむしゃらに努力して正しくすることはできる」 
を紹介している。結局は、どんなにすごい人であっても、がむしゃらになることが必要なのだろう。(余談ですが、「結婚相手の選択とその後の生活 」とも共通しているかもしれません。相手の選択がベストかは不確定ですが、ベストにすべく努力することは可能ですから。)



グーグルはすごいが、徳生氏もすごい。ただ、その裏には努力があり、ただ羨むだけでなくその姿勢には見習うべきものがある。

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