2016年1月3日日曜日

「物欲なき世界」菅付雅信

モノを買わなくなった傾向はなせ生じたか、ではお金とは何なのかといった疑問に対して、さまざまな著作を元にその理由を考察している。また、同時にその鍵を解くための関係者に対するインタビュー(直接あるいはメールベースの)取材もされている。構成としては、一種のポータルサイト的であり、この本からさらに詳しく知りたければ元の引用の各著作にたどって行くのがよいだろう。「総説」あるいは「レビュー」と言ったほうがわかりやすいかもしれない。

大量生産・大量消費に支えられていた資本主義もそろそろ成熟を迎えているのではないか、という点は誰しも感じる点だろう。本書でも述べられてるように、人間の歴史からみるとここ数十年の経済的発展の傾向が「特異的」という見方は的をえている。お金とモノそして幸福とは何かを考える参考となるだろう。某クルマのCMの「モノより思い出」というコピーは、よくできていると思う。クルマはものであるが、それはあくまでも「思い出」をつくるための手段の一つだからだ。

2015年12月19日土曜日

「フルサトをつくる」 伊藤洋志×Pha

「ナリワイをつくる」を読んで、こちらを読んでみたくなった。「フルサト」の位置づけは、二拠点居住での田舎暮らしに相当する。田舎に移住しなくても、たまにそこに帰れるような場所をもつことがいいんじゃあないかという考えである。
そうはいっても、フルサトで職がないと困る。この点については、「足りないものを作っていく感覚で」仕事をつくればよいといっており、そこではあまり大きなモデルは考えないという。大きく稼ぐために、大きく投資するという考えではなく、必要な最低ラインを先に考えることや、家計モデルとして「収入を増やす」ことだけではなく同時に「支出を減らす」ことを提案している。別の本での3万円ビジネスに紹介されているモデル(一つの仕事が3万円でもそれを10個作れば30万円になる)の考えだ。
ここに書かれているように、大量生産が行われる時代の前は、一人の人間が小さいことを複数やりながら生計を立ててきた。だからそうした時代の仕組みを再び活かすということだろう。

生活をシンプルにすることはミニマリズムにも通じるが、ここでは共著者がPha氏であることからもわかるように、「ぬるく」生きること(例えばできるだけ働きたくないとか)を肯定することで成り立っているやり方だと感じられる。ただ、ぬるく生きるといってもそれなりのパワーが必要だと思われるので、「引きこもり」と「ぬるく生きること」は別物ともいえるだろう。