2013年11月10日日曜日

「プア充」 島田裕巳

本書のタイトル(プア充)は、「リア充」をもじったものでしょう。「プアでも充実」、高収入ではなくても、充実した生き方ができるためのhow toが述べられています。東洋思想の「少欲知足」(欲を持ちすぎず、現在の状態に満足する)を勧めています。本書の構成は、30歳の主人公がお金だけじゃなくても生きられることに気づく物語となっており、各章にはまとめがつけられています。物語に著者の言いたいことをのせた構成なので、堅苦しくもなく、読みやすかったです。

「人間関係やヒトとのつながりを大切に」といった、月並みなこと(=この手の本ではよく見られること)が挙げられている一方で、「競争とは無縁の安定しているダサい会社を探して就職」し「年収300万円しか稼がないがストレスとは無縁」ほうが幸せではないかと述べています。「プア充」の考え方では、仕事はお金を稼ぐための手段にしかすぎず、「仕事にやりがいを見出すことができなければ人生はつまらないというのは思い込みだ」と言い切っています。「思い込み」かもしれませんが、やはり仕事が楽しければそれは理想だと私は考えます。問題は、生きてくために働いているのに、逆に無理をしすぎて健康を害するとか、あるいは、過度のストレスで早死にするケースがあることだと思います。何事もやりすぎはよくないのではないかと…。

日本国民すべてが「プア充」的に生き、その結果、国の経済力や企業の競争力が低下したらどうしよう、と心配になります。しかし、ヒトがあって国や企業が成り立つので、この心配こそが本末転倒といえるかもしれません。

過去に見られたように、日本経済が劇的に発展する状況は今後期待できません。身の丈にあった生き方を選択するのも悪くはないでしょう。また、日本を飛び出して生活する可能性もアリかと思います。

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