2013年4月20日土曜日

「野良犬の成功法則」 堀之内 九一郎

もう放送は終了しましたが、以前、「マネーの虎」というリアリティ番組のレギュラーだったリサイクル会社社長の著作です。その番組は、一般人である起業家が事業計画をプレゼンテーションし、投資家たる審査員らが出資の可否を決定するという内容でした。

著者は、事業家の家に生まれるも、それをうまく継承できず、借金をしてさまざまな事業に手を出しますがついにはホームレスにまでなりました。で、そこから総合リサイクルショップを立ち上げた経歴を持ちます。

■商売人というだけあって、お金に関係したことが多く語られています。「お金を借りる必要もないのにあえて借金してつながりを作っておく」、「お金は使って初めて意味をなすものだ」などです。
また、お金を使う時に、「それが投資なのか浪費なのかをちゃんとわかっていることが必要」と押さえている点はさすがだと感じました。浪費だけでは事業の発展性はないからです。


■「欲望」については肯定的な見方をしています。
未来には大きな可能性があるのではなく、欲望や願望があるだけだ
「際限のない欲望」を持つからこそ、人は人生に挑戦できるのだ 
欲望がなくなったときは、人生が終わるとき
だから、もし事業を起こすとしても最初の段階では、目標を社会への貢献とかいった、他から押し付けられたような動機ではなく、自分の望み(欲望)を実現させるためにがんばるのがよい(例えば、車や家を持つ)といっています。

一口に欲望といっても物質的なものだけではなく、精神的な欲望も含まれるでしょう。


■偶然にも、この前のエントリー(「優しくされる技術」)でも「他人からうまい具合に助けられる必要性」がでていましたが、ここでも似たことが述べられています。
人生で成功する人は、「能力のある人」ではなくて、人に「こいつ、助けてやりたいな」と思わせる人
であり、そして、援護者が現れるためには、限界まで力を出し切る、使い切ることが必要だといってます。がむしゃらにがんばれば、手助けする人間が現れるということでしょうね。


■成功の程度の評価については、
成功とは、自分のやったことが、どれくらい人に影響を与えているかで測るもの
と定義しています。この定義では、単なる物質的なことだけが成功ではないと言えるでしょう。最終的には、人それぞれで「成功」の定義は違ってきて当然だと思います。

また、成功の方程式については、
「(知識+技術)×意欲=実績」
だから、意欲が十分であれば実績を大きくできるといっています。ただ、「意欲」の重要性は理解できますが、それは成功に至るための「最低限の要素」なのではないかと私は思います。「意欲」というか、目的に向かうための強固な「意志」といったほうがよいかもしれません。

「過去は変えられないが、過去の意味づけは変える事ができる」と聞いたことがあります。事業の失敗やホームレス生活の人生のどん底の過去は変わりませんが、いまや成功した事業者として過去をみられるからこそ、成功までの道筋のサクセスストーリーとして語られるわけです。

これまでの成功体験がそのまま適用できるとは限らないので、この手の「成功本」の内容は、自分でよく咀嚼してみる必要があるでしょう。「成功方程式」とは、あくまでも過去の「成功」を説明するための「式」であり、将来の成功に向かって適用できる保証はありません。それでも、こうした「成功経験」を語った本から学べることが多いのも事実です。

2013年4月14日日曜日

「なぜあの人とは話が通じないのか?」  中西 雅之

対人コミュニケーションに関して、実用的な問題対処法のコツに加えて心理学的な理論的な基礎が紹介されています。

非言語コミュニケーションの重要性に関しては、声や顔の表情だけではなく、その人の服装など見た目にも注意を向けるべきだと述べています。ビジネスマンの身だしなみが重要で、さらに靴が重要である点を挙げています。アメリカでは女性が男性を見るときには靴をみて値踏みするらしいと述べられています。似たような話を私も聞いたことがあります。営業マンが信用できるかどうかは、その人の靴を見ればわかると。駅構内の上り下りでスーツを着た男性の靴を注視してみると、たまにひどくくたびれた靴を見かけることがあり、人ごとながら心配になります。

また、初対面では最初の5分間でその人の印象が決定づけられ、その第一印象でその人の評価が決まるので注意が必要と言っています。いわゆる「暗黙の性格観」により、例えば「ハキハキしている」という印象を受け手が感じたら、そこから芋づる式に勝手に良いイメージを受け手が作り上げられるそうです。この場合、興味深いことは、その相手がイメージした性格は、実際の性格を反映しているとは限らないという点でしょう。反対に、初対面の印象で神経質さがイメージされてしまうと、そこから「神経質」→「心が狭い」→「人に話を聞かない」→「身勝手」といった、否定的な評価をされる可能性があるということです。
よく言われる、「人間、中身が大切だ」ということは否定しませんが、中身を磨くことに加えて(あるいはそれ以上に)「見た目」を気にするべきでしょう。このことにもっと早く気づいていれば人生変わっていたかもしれませんが(笑)。

日本人とか外国人という大きな違いだけではなく、世代間や男女間で起こるコミュニケーション不全についても分析しています。その理由として「文化の違い」を挙げており、その文化の違いとは、日本と海外といった大きな文化だけではなく、世代間、男女間でも観察される文化の違いであると述べています。

著者のプロフィールを見ると、「英文学科コミュニケーションコース教授」となっているので、日本と英語圏との文化の違いからの視点の分析が丁寧になされているのは納得のいくところです。



この本では理論と実践が幅広く紹介されていますが、以前に紹介した「不都合な相手と話す技術」のほうが実際的な内容でしょうね。