2013年11月4日月曜日

「ハゲとビキニとサンバの国-ブラジル邪推紀行」井上 章一

リオデジャネイロで通算4ヶ月ほど滞在した経験から、ブラジルに対して考えたことが述べられています。著者は、現地大学の日本語学科から招聘されたため、自身が現地で感じた疑問に対して、ブラジルの大学生からの意見を聞くなどして考察をしています。「考察」というよりは、サブタイトルにあるように「邪推」といったほうがよいかもしれませんが、切り口はおもしろいです。

「ハゲが女性にもてることは本当か?」という疑問に関しては、「ブラジルでの有名な歌がありポピュラーだが、その歌詞の内容から判断すると、ハゲだからもてると考えるのは誤りのようだ」と結論しています。(その歌、Nós, os carecas (われらハゲ仲間)はyoutubeで探したところ、これかと思われます→http://www.youtube.com/watch?v=ULknVaXLFcQ

ビキニについては、ビーチで見かけるのは、必ずしもグラビアを飾るような女性ばかりではなく、おばちゃんや、脂肪に食い込んでるほど肥満な女性もみられると述べています。しかもビキニが「フィオレ・デンタル」(=デンタルフロスの意味から、いわゆる「紐ビキニ」のこと)であり、そして「見苦しい」体型であっても許容される背景(帝王切開が一般的なのにその傷は目立たないことや、社会的に低い階層は高級服には手が届かないが紐ビキニなら買えるなど)について考察しています。

女性の尻に対してなぜ、ブラジル人はこだわるのか、奴隷制の名残であるという説が紹介されています。そして、対照的に、日本人がなぜ、女性の襟元に興味を示すのかについても考察されています。日本で魅力的な女性を「ガン見」することは文化的に許容されない、しかし、男性の視線がうなじに向かうのであれば、女性から視線を返されることもなく、そこが視線を集める部位になるというのが著者による考察です。

以前の2つ(「ブラジルの流儀」「ブラジルを知るための56章」)とは、違った視点でブラジルを見た興味深い本です。

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