自分が幼いころ、死は遠いものと感じられていた。テレビのドラマの中の死や、ニュースで報じられる死は、自分には関係ないものと感じられていた。おそらく、死んだあとに、空からこの世を見守ることができるイメージが漠然とあったからだろう。
死んで火葬されれば肉体は灰となり、有機物は二酸化炭素となって大気に還元される。では、魂はどうなるのか?あの世があるとすれば「高いところ」にあるのか、あるいは地の果てにあるのか、それとも地底深くにあるのか、こうした疑問に宗教は答えてくれるのだろう。しかし、信仰のない者にとってはどうなのだろうか?
著者はガンを患い、その経験から生と死に関して、同様の経験者の著述などを紐解きこれらの点に対して考察している。ここでは、控えめに「断想」といっているが、死んだらどうなるかを考える上での一種の総説的な(ポータルサイト的な)内容となっている。だから、さらに深く知るためにはこの本から、引用元の各著作へと読み進めるべきだろう。
「時間」の概念について、自分の時間、自然の時間、地球の時間で考えたり、あるいは、輪廻転生について考察したりしている。時間の流れる方向が直線的ではなく、また、流れる速さも違うのを表すのに、ぐるりと輪を描いている概念図(表紙の絵だが)を示している。輪廻は別としても、よく表していると感じた。
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