1.「ちょいな人々」
保守的な印刷会社のサラリーマンが、ある日トップダウンで決まった「服装のカジュアル化」に振り回される心情と戸惑いが描かれている。
3.「占い師の悪運」
占い師養成学校をでてパッとしなかった主人公だったが、以前勤めていた際に営業で回った場所近くを拠点として占いを始めた。そこでの客となるOLについての情報をすでに持っていたため、それを利用してよく当たる占い師として評判となる。そんな時、深刻な客がきた。その女性の要求は、自分で植えたチューリップの、これから咲く花の色を占いで当てること。外れれば死ぬと。霊感も何もないでたらめ占い師のとった行動とは?巻末の参考資料(石井裕之のコールドリーディングの本)は、ここで使われたと資料と思われる。観察や質問のやり方といった技術を使うことで、エセ占い師としていろんなことを言い当てることができる。今でいうとメンタリズム? 以前コールドリーディングの本を読んだが面白かった。
4.「いじめ電話相談室」
いじめ相談室で電話相談員の女性が、電話で受け答えしているだけではいじめの解決にならないと気づき、具体的な行動に移していく。相談員として「指名」を受け付けるまでになったが、逆にいじめ相談室での「いじめ」の対象になる。いろんな場所や状況でのいじめを織り交ぜて話が進行する。
6.「正直メール」
前の「犬猫語完全翻訳機」を作った会社が、今度は声だけでしかも感情を反映させてメールを書けるケータイを開発した。声に含まれる感情を織り込んで文字変換するその機能が、本当に正直な感情を反映してしまった結果、起こった喜劇。
7.「くたばれ、タイガース」
主人公である治美が結婚することになり、阪神ファンである婚約者が自宅にあいさつに来たものの、治美の父が巨人ファン。「娘さんをください」という前に、徐々に治美の父親にも婚約者が阪神ファンだとわかり、酔った二人が中継戦を見ながら、もはや結婚のあいさつどころではなくなる様子をユーモラスに描かれている。結婚のあいさつのために、妻となる女性の家にいって義理の父(となる予定)と話をする状況は、特に男性が緊張を強いられる状況であることから、題材として取り上げられやすいのだろう。野球好きであれば、もう少し入りこめるかもしれない。